
近々日本に永住帰国する予定、或いは家庭事情で今の家が大きすぎる、または小さすぎるから買い替えたいなど、売却をお考えの方のために主なステップをまとめてみました。
①不動産エージェントを選ぶ
エージェントを通さないで自力で売ることもできますが、アメリカ不動産に関わる法律の知識があり、問い合わせの対応、内見アポの調整と実施、契約の交渉と書類の準備、弁護士とのコミュニケーション、クロージングの手配など全て対応できる自信がある方でないとかなり難しいと思います。
アメリカ不動産は法律に大きく関わるビジネスなので、売買のプロセスを隅々まで把握し、現地市場の知識が豊富で、英語力もあり、交渉力があるエージェントに任せると最初から最後まで安心して取引がスムーズに運びます。それぞれのブローカーの契約ルールが異なったりするのでエージェントから詳細を聞くことをお勧めします。ブローカー費は通常5〜6%の手数料を負担することになります。なお、そのほかにもエスクローに対して支払う手数料や、登記手続きに関する手数料などが発生します。全ての手数料を合計すると、物件売却額の5%〜10%程度になります。
信頼できるエージェントを見つけたらコンサルテーションのアポを取り、購入の目的、物件の条件や優先順位、売却希望時期、ご希望の価格帯とファイナンスの準備状況などをご相談ください。
不動産エージェントが決定されましたら、そのエージェントとリスティング契約を結びます。
②売却価格の設定
不動産エージェントを選んだら、次に物件の売却価格を決めます。エージェントが市場調査を行い、物件の売却価格範囲が明記されたCMA(Comparative Market Analysis)を提出します。物件を売却するとなると、売り手はできるだけ早く、高値で売りたいと考えるのが一般ですが、物件の売却を円滑に行うには周辺相場に合わせた適正な売却価格の設定が重要です。売却価格を大幅に高く設定してしまうと、オファーが入らない、誰も内見に来ないということもあります。一度高値で売り出し、売れないから価格を下げると、物件に何の問題がなくても不良物件ではないか思われる可能性もあります。
③市場に売り出す前の準備
市場に公開する前に家を整頓することをお勧めします。第一印象はやはり大事なのです!物件によってはステージングをするのも方法です。
なお、修理が必要な箇所も決める必要があります。キッチンのような大掛かりなレノベーションは個人の趣味が違かったりでお勧めしませんが、穴が空いている壁や床、或いはつかない照明、水漏れなどは見に来るバイヤーを心配させるので修理しておくのが無難です。
物件を綺麗に整理し、修理してから売りに出すか、あるいか「Sold As It Is」で出すかエージェントとご相談ください。
全ての準備が完了したら物件の写真やビデオ撮影を行います。
④市場に売り出す
売却価格が決定したら、エージェントがMLSという不動産物件情報の専門サイトに登録し、市場に売りに出します。エージェントはオープンハウスやプライベートツアーをして、できるだけ多くの人に物件を見てもらいます。
もしも1ヶ月経ってもオファーがない場合、価格を下げる必要が出てきますのでエージェントと相談要です。
⑤購入希望者からのオファーを受け取る
物件を売り出すと、購入希望者が現れた場合はオファーが提示されます。オファーは書面で提示されるもので、その記載内容は主に以下のようなものです。
・物件の希望購入価格
・ローン利用か現金購入か
・インスペクション条件(点検調査)が付いているかどうか
・引渡し希望日
・他希望事項(家具購入など)
売主は、オファーを受け取ったら購入希望者の状況や提示された条件などを審査し、対応を決めます。オファーの対応には以下の3パターンがあります。
・オファーに合意する
・断って別のオファーを待つ
・条件変更の提示をする(カウンターオファー)
なお、複数のオファーを受け取った場合は、売主は最も条件が良いオファーを選んで交渉進行します。例えば、ローンの利用希望と現金購入のオファーを同時に受け取った場合は、現金購入のオファーを選ぶ方が安全と言えます。ローンの利用希望がある場合は、購入希望者がローン審査を通過できなかった場合に契約キャンセルになってしまうからです。オファーの選別は、希望購入額が一番高いからという理由だけで決めるのではなく、キャンセルのリスクも考慮しつつ検討するのが重要になります。
⑥物件売却前の諸手続き
売却条件について合意したら、売買契約の締結に移ります。アメリカ不動産の取引では、「エスクロー」という第三者機関を通じて手続きを進めるのがルールです。エスクローとは公正な不動産取引を仲介する会社のことを指します。なお、アメリカ西海岸とアメリカ中部でエスクロー会社を使う州が多く、東海岸と南部では弁護士を仲介業者として使うことが多いようです。売主と買主とは、それぞれ自らが契約した不動産エージェントへ必要書類を提出し、不動産エージェントからエスクローに書類が送られます。必要書類を受け取ると、エスクローは以下のポイントについて調査します。
・別の名義者の抵当権がついていないか
・物件の登記内容に瑕疵がないか
・税金の未払金などがないか
・集合住宅の場合は管理費等の未払いがないか
また、買主によるインスペクション条件が付く場合、売買契約の締結前に実行するのが一般的です。万一修繕を要する箇所が見つかった場合は、買主から費用負担を伴う修繕の交渉が入る場合もあります。
⑦売却完了
売買契約の締結後、インスペクションと買主のローン審査などが終了したら、物件の引渡し手続きに入ります。買主からの購入資金が着金すると、エスクローが「クロージングステートメント」という決済明細書を作成します。クロージングステートメントの内容を確認し、買主と売主との双方がサインしたら決済は完了です。物件の売却額から各諸経費を差し引いた残額が売主の銀行口座に振り込まれます。決済が完了すると、エスクローが物件の所有権移転登記の手続きに入り、Deedという登記済証が発行されたら、物件の売却は完了です。
